鬼瓦三蔵恨

今週は三日休みを取ろうと思ったが 
昨日日曜日夕方 鬼瓦三蔵みたいな顔したオヤジからラーメン営業中に電話が入った。
ただ事でない怒りよう なのだが。
船は帰港して地に足が付いてるのでラーメン店が閉まってから行こうかと思ったが
かなり怒ってるのですぐに行った。
油圧ラットからオイルが漏れていて鬼瓦三蔵はかなり怒っている。
高圧の掛かる油圧シリンダーからオイルが漏っているが機械はやがて壊れる物なのだ。
怒り声は聞こえない振りをしながら
お~お~エライコッチャ~とシリンダーを見つめるが部品がなければどうしょうもね~べ~と
怒鳴りまくろうが全然ヘッチャラなのだ。
休み予定は吹っ飛んだ。

鬼瓦三蔵とは崖下村に来る前からの付合いで 
出は聞くだけで怖ろしい遠賀川の川筋を遡りやがて山を二山三山ほど越えた所の出で
稼業はバリバリの土建屋で流れ流れて北海道の旧産炭地に定住した。
一旦怒ると手が付けられない結構な御歳のプッツンオヤジなのでいまは一緒に船に乗る人もあまりにも怒るので一人去り二人去りとしていってる。
だが鬼瓦三蔵とはそこそこの永い付合いで楽しい思い出が沢山ある。

以前の鬼瓦三蔵には冬期間に全国の飯場生活を一緒に渡り歩く心許せる友人達が一個分隊ほど居た。
ドイツもこいつも一癖も二癖もあり個性的な人達で楽しい酒飲み連中だった。
が残念な事に皆早くにクタバッテ鬼瓦三蔵一人残されてしまったのだ。
今の鬼瓦三蔵が夕日を背負って帰港する時にその目に胸に去来するものを思う時
過ぎ去った時間を知るのだ。

出稼ぎ先から無事戻った挨拶にと一個分隊がクラウンのトランク一杯に詰まった京丹後篠山の竹の子を全部降ろせ お土産だと言う。
またある時はハネのメロンだと言ってトランク一杯に積んで来る。
素直に喜びを表現出来ない照れを乱暴な言動で誤魔化そうとする根は本当は優しい人達だったのだ。

鬼瓦三蔵を思う時に恨を思う
相手をすべて自分の尺度で見る事しか出来ない事は自分の器量のなさなのだと

最近は一人の人と話をせんでもじっくりと酒を呑んでみたいと思うようになった。

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