ラーメン物語

第一話 海栄ラーメン物語

ラーメンは、中に熊の手が入っていようが、フカヒレが入っていようが、毛ガニが一匹丸ごと入っていようが、ラーメンの作り手がラーメンと名付ければどんな味でもラーメンです。 そこにラーメンの猥雑さと、清濁併せ持つ器量がラーメンに […]

第二話 ラーメン店の設備の話

設備で迷った時は、自分の回りから不必要なものをそぎおとした、屋台があります。 あれこそが、設備も動きも究極の見本かと思います。 設備は少なければ少ない方が、掃除も楽で、清潔に出来ます。 ラーメンしか知りませんが、設備はお […]

第三話 ちょいと箸休め

  昨日、7月7日七夕午前中、増毛上空に、珍しくF15、16、17か知らんが戦闘機の機影が見えるより先に、爆音が遙か彼方から聞こえてきた。約1000メーター位の低空で飛んできて、いつもならただ見ているだけだったが、その日 […]

第四話 「気」について

  スープも作りました、麺も茹でました。 これらは練習次第で誰でも出来ます。 一番難しいのは相対だと思います。 お金を受け取る時、渡す時。  よく、コンビニなどでお釣りを渡す時に、手のひら上数センチでお金を放す人がいます […]

第五話 雷鳴 カミナリから昔へ

カミナリが落ちた。 それも見ている前にまともに落ちた。 その落ちた家には、漁師の爺さんと婆さんが二人で住んでいる。  一瞬、焼けた鉄を水に入れた時の、水蒸気の様なものが屋根から立ちあがった。 俺は一目さんに雨の中を走った […]

第六話 ショッパイ川

  有線から、守屋浩の有難や節が流れる開運町新世界。 そこはもともと運の無い人達が集まり、せめて名前だけでもと、付けた街だった。   留萌川河口の湿地帯だった所を埋め立てた、湿気臭い、盛り場と小間物商店がごった煮の、新世 […]

第七話 箸休め 「魅惑のアンヨ」

 海の上から事務所に、携帯電話で連絡が来た。 相当困っている様子だった。  そらそうだろう、シケで有名な日本海の上を走っている最中、エンジンがいきなり止まるのだから。  その場所は、いつ完成するかわからない幻の国道と言わ […]

第八話 それ行けカムエト岬

  第一報が入ってからは色々聞く事がある。仕事は段取り八分よ。  一番に聞くことは名前。 意外と自分の名前を言わない人が多く、慌てると名前が言えない人が多いのです。 落ち着かせる為にも、まず名前を聞きます。 他には場所で […]

第九話 春海と花火(出会い)

Mとのこと  春。 もうすぐ増毛の桜が満開になる季節でした。   15歳になる子供が、両腕を抱えられるようにして移送されてきた。  面(ツラ)は一端(いっぱし)の悪ガキ面で、頭髪は信号機のような赤、青、黄色だった。  な […]

第十話 文ちゃんと大盛りラーメン

ある日突然、旭川のN病院から呼ばれた。 そこでは俺の名を呼んでいる人が居るとの事。  まったく知らない人ではなかったので駆けつけた。 そこの三階の集中治療室で見たものは・・・ 真っ暗な部屋で、頭から体から管を繋いだプレデ […]

第十一話 焼鳥屋台 小鳥  

 ある日、ガキの頃から知っている、箸にも棒にも串にも刺さらない「考太」から電話が入る。  考太は小学校6年の時、訳あって横浜からたった一人で来たのだった。 ガキの頃から根性だけは誰にも負けない。 顔も筋金入りで、眉毛は斜 […]

第十二話 懺悔

東京オリンピックが始まる前の年。  名古屋駅裏は、バラックが立ち並ぶ一大スラム街でした。 下りホームを出て、高架橋通路を左に折れると、駅の裏口に出ます。 そこから見えるバラック街を正面に見て、右に曲がり、脇の新幹線ガード […]

第十三話 椎茸と電車

毎週金曜日に、土曜と日曜だけ開店するのに使うラーメンのスープを作る。 ここ元祖店の俺は、自分では一切調理しない。 しかし自分でしないぶん苦労が無く、なんとでも言えるので、目一杯口出しをしてすごく手間と時間をかける。   […]

第十四話 お礼参り

毎年8月13日はお盆、墓参りである。 誰にとっても、祖先が縄文人だろうが渡来人だろうが祖先を偲ぶ重大な意味を持つ日なのである。 この日8月13日は、毎年恒例の地方からのお客さんが来る。 それは、最近買え換えたらしい、小作 […]

第十五話 スッポンの鉄

今年、静岡の大東水産から分けて貰ったスッポンの鉄と百合もすっかり大きくなったが、鉄と百合にとってはこの狭い水槽でも全宇宙です。  スッポンが他のカメと大きく違うところは、甲羅に年齢を表すシマ模様の亀甲がないことです。 こ […]

第十六話 昭和43年初冬

その日は朝から寒い日だった。  早朝に三菱ミニカの空冷軽トラックに乗って、西郊通りから六番町を右折して一号線に出て、一色町の魚市場に魚を買いに行く途中だった。   途中ものものしい検問があり、行き先を聞かれた。 当時は1 […]