色は必ず付いている。


真直ぐ前が北北西
入港は赤灯台右小回りが原則だが15日はシケで漁船は北西から進んで入港するが風と
赤灯台の堤防に跳ね返った潮流れが船にブローチングを喰らわし横に倒しながら危険な暗岩が数か所あるテンヤの岬にどんどん流されながら入港して来る。


午後から風が変わる。
19屯のブリッチは三階の建物ほどの高さにある。
さらにブリッチより上にカゴを積む為の枠があるが
それがすっぽりと見えなくなるほど波の谷間に入ってしまう中で出航してゆく
毎日この光景を見ながら仕事をしている。

「 金には色は付いていないから貰う 」
「 へ!金に色は付いていない!お前まさか白紙の紙幣を持ってるんでないべな 」
と言いケリを入れてやろうかと思った。

たとえ思っても言葉を呑めと思いながら、まさかコイツからそんな言葉を堂々と聞くとは思わなかった。
すべての紙幣には必ず色が付いている。
何色で刷ってるか知らんが血の色の赤もあれば空の色の青もあるはずで
漁師でも誰でもいま手渡しして呉れた金になんの色を見るか苦労の色を見るかで男の甲斐性と器量が決まるのだ。
金には色は付いていないと言い切り
誰にも迷惑掛けんでコロッと行くと言った奴は今は病院の中
言葉が軽いんだょバカが

あとひと月で今年度の売上が確定する。
領収書の無い金など一円たりとも経費には認めてもらえん
トラックで夜通し船を運び続けて眠気覚ましに飲んだ缶コーヒーも自販機で買ったら経費にはならん
シケの合間を見て海を夜通し船を回航しても時間外手当などもない

へ!領収書も要らん非課税非公開で100万そんな上手い話があるのか
知らんかった。
お前ら金には色は付いてないと貰いながら今さら言葉かるいんだょ一度脳の病院にでも入れ

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