元々読み書き大嫌いで身体を使う仕事と思った修理屋なので出来る事に限界があり
こんな時の為に同じメーカーと出来る限り同じエンジンを手掛けて他の物には極力手を出さない
表にある同じエンジンの船に乗り漂流中の船長と同じ動きをしながら
確認作業をする。
どうも電波圏外に入ってしまいそうなので次々と確認作業手順を伝えてゆく
中の一つでも自分の判断で、それは大丈夫と飛ばすと何時まで経っても再始動は出来ない
その時の動きは自分も出来る限り同じ動作を身振り手振りで確認をする、いわゆるエァーエンジンである。
再始動までの時間はおよそ30分くらい原因はコンピューターへの電源喪失
この船は回路が二回路あり、どちらも失ってはいけないが一回路はモニターは動くのでバッテリーが無いのに有ると勘違いしやすい
予備回路に切り替え、さらにバッテリーを移動しめでたしめでたしで終わったが
故障の場合は意外と簡単な原因ほど手こずる事が多いが
他の原因があったら困るので近くの港に入港をさせて再度チェックして完了
こんな場面は今までも何度も経験しどっと疲れたが
午後から無事に帰港したとのお礼の電話が入る。
安全は聞く耳を持って貰う事と相手との相性も大事な要素になる。
午後から真っ黒のサングラスを掛けた年配のオヤジが来る。
俺は家に入ってもサングラスを外さん奴やヘルメットを脱がん奴は危なくて話はせん
適当に話をしてると気付いたのかサングラスを取るが初めて見る顔だった。
遊びがてら来たと言う 実はこの初対面なのに なぜか遊びに来たと言う人は結構多いのだ
今日は朝に大仕事をしたから一日遊んでもいいやと思って世間話をしてると
水槽のムギツクを見て、これはどこにでも居ると言い出した。
留萌支庁管内では俺は見た事はない
え~え~ムギツクを知っているのか、
以前フクドジョウを飼ってると言う人にも驚いたが
フクドジョウは意外と飼育は難しし関心を持ち飼う人など聞いた事はない
そういう人は世の中の雑踏の見方もきっと違うのだと思う。
この誰も気にもしない小さなムギツクに気に掛ける日常はと思い
どこから来たかを聞くとわざわざ札幌から来たと言う。
長い事魚の話をしたが奥さんを軽トラックの助手席に乗せたままだったので中に入るように言った。
夫婦で小さな誰も見向きもしないような小さな雑魚を見て話をしてる姿に、
俺にはとうに忘れた、幸せな生活をしてるのだろうといたく感動した。
やがて自分の携帯番号を教えて呉れて知り合いと言う、石狩川の川漁師に電話をしてくれた。
これは川大好きの俺は長い事川漁に同行したいと思っていたので大爆発した。
何がなんだか縁って本当に縁だなと思う。