朝7時40分に携帯が鳴る。
皆には特別な用事が無い限り朝は電話よこすな!と言ってるので嫌な予感が
予感は的中し北におよそ150キロ先の北緯45度付近の利尻水道を航行中のボートからの電話だった。
電話に出るが一瞬の間があった。
この一瞬の間が物凄く嫌で短い僅かな時間に色々な思いが交差する。
早く『 ウンダ カキ ツブレタ 』でも何でも言ってくれと思ったが
電波が細い、やっと聞こえる中で航行中にエンジンが止まりセルが回らないと言う。
携帯の電池を確認すると大丈夫と言う。
自船位置を聞き一旦切りこちらから掛け直す。
頭はフルモードで回転し同時に地元の漁師の現在の配置を考える。
漁師船は時期によってどこに居るかは大体決まっているがボートは好き勝手に行動し把握は出来ない
再始動させるにはどうするか これが増毛沖ならと思うがどうにもならん。
条件は航行中に調子が悪くなり停止しセルが回らん
ドライブコンピューターが作動しなかったと考えていいと思うのだが
携帯を充電器に繋ぎ再度電話するまでの時間は数十秒
相手が出た。
聞き取りをする相手は感情の無い機械で一つ一つがキッチリと理由があって組まれた機械で
船長の人間に聞いてる訳ではない
原因を一つづつ潰す作業に掛かる。
船の上での少ない携帯電源と時間で聞かれた事以外の自分の意見は一切言う必要はない。
1 コーションブザーとコーションモードが作動しなかったかを聞く
ブザーは鳴らなかったと言うが音は気付かない場合もあるがコーションモードは気付かない事はありえない。
2 バッテリーサインの点検をするように言う
返事は即答で確認したから大丈夫と言う
「 俺が言ったのはバッテリーサインを点検をせっと言った。」ときつく言う。
相手はお客さんで年長者だが思いは一つなのだ。
バッテリーボックスに行かせ確認をさせる。
通常は2個積んでるがバッテリーは何個積んでいるかを聞く予備もあるか
ここから一歩づつ焼却法で潰す作業がまさに一歩づつ始まる。
一報が入った時の間が気になる確実に電波圏外に流れていると思われる。
船長はこれからも自分の思い込みと考えを言って来る。
相手は機械で感情も何もなくすべては理屈で組まれている。
それを再度組む事で再始動はする。
お前の意見などは最後の最後で今は聞いてはいない事を告げる。
お客だろうが年長者だろうが文句があるなら陸に揚がってから 殴るなり蹴るなり好きにさらせ!と言う。
俺が大好きな利尻の姿は初山別村を通り越し坂を下って視界が開け海が見える場所がある
右一時の方向に利尻富士が見え北にのびる道沿いに歌越
いま島の人は何をしてるのだろうか
そう思わせる景色が好きだ。