スイカ蜜

俺は終戦直後の生まれで
もっとも厳しくなんの保証もなく理不尽を乗り越えて来た戦争を経験した人達に教わって育った。
その過酷な戦争体験をした者でも義理を欠くな 情(なさけ)を大事にせと言う。


西達布 


西達布


西達布

北海道の中心は札幌ではない農業や漁業や林業や炭鉱によって国全体を支えた地方の田舎なのだ。
その後の国策や地方の指導者達の失政によって農業は廃れ山は荒れ漁業も廃れていった。
その結果 あらゆる処に廃墟が生まれていった。
その中でも地を這う苦労をする農業や漁業と違い右から左にとモノを移動する事によって利ザヤを稼いだ商いは何の保証もなくじわじわと衰退していった。
商いとはそう言うものなのだ。
時の権力者の意向や天変地異などに影響され流されていくそういうものと覚悟すべきなのだ。

西達布を通る度に思いだす。
甘い物が買えなかった農家が売り物にならないスイカを秋空の下で家族総出で集めて
煮詰め作ったスイカ蜜をもう一度味わてみたいと言った人のスイカ蜜
一人で街で買ったスイカではその味は出来ないだろう。
駅までの一里の道を歩きバス代を貯めて長靴を買い使い古したら上を切って学校の上履きに変えたと言う。

どん底を経験した者がどん底に戻りたくないと思うか
どん底から這い上がったから何とかなるさと考えるか
果たしてそれはどん底だったのか もしかしたらたった一度の人生でも幸せな時だったのかも知れない

近代は急激な変化によってすべての価値観が変わってしまったが
いま商人(あきんど)のすべき事は次の世代に借金を残す事ではない。

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