看護学校の卒業式が終わり多くの子が
貸与型のセコイ奨学金を返す為に指定された病院に就職する。

以前は個々の家で終末を見届けたのが今は病院で送る事になって
看護に携わる者達は命を助ける仕事に付く代わりに終末をも身内の代わりに見届ける事になっていった
今年も卒業する多くの子達に命を助ける喜びと同時に大変な心の苦労を幼い子達にさせる。
順天堂大学病院は一歩裏に回ると都の下水道の終末処理場と護岸された水路があり水は綺麗なのだが
何も生きていない川底
その両側をコンクリート壁で固められた道をスラッジ運搬車が巻き上げる埃が立つ中を
みんなが背負わせた重荷を背負って毎日毎日黙々と  
雪が溶け一番に黄色の花が咲くエゾリュウキンカを見て育った子が
都会のアスファルトとコンクリートに囲まれて病院に通う。

都会に就職する時はあっとう言う間に着く飛行機では駄目 
防音壁で囲まれた新幹線でも駄目
必ず汽車で行けと言う。
少しづつ変わってゆく景色に臭い 
世話になった人達の顔 
歩いては戻る事の出来ない海
次の駅で降りてもいいのだと
いつでも戻って来いと春の雪山の稜線も野の花も言っている。

この電気の線の先の峠を越えた山の麓に お前のふるさとがある。
CIMG0036

せめて駅前の景色だけは変えてやらないのが故郷に住む者の心意気ではないのか

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