以前から決めていた引退で長い事した冬の荷物運びは終わった。
事前調査や測量機器の機材運びなどで命じられるままに様々な所を走った。
特に印象に残ったのは北と東の二つの集落が立退きによって消え去るのを数年掛けて見て来た。
交通手段もないテレビさえ見れるかどうか分からんそんな集落を歩く人は背丈は総じて小さく見え歩く後ろ姿に町に出てはいけないと思ったものだった。
ここを出たら何を買うにも金を出さないといけない 生きて食って行けるならここに居れと思った。
だが住民の総意か立退き金の魔力かあっけなく集落が無くなってしまった。
金を使うという事は一つの技術でその技術を持たない者が手に余る金を手にする事は
いきなり渡された機関銃のようなもので誤射や暴発や跳弾によって回りも巻き込む不幸の元になり気付いた時には弾は無くなる。
維持費の掛かる大型ボートを突然買ってみたりと買った方も不幸になるが売った方もいい目には会わない事もあったりと。
若いうちに弾切れになれば学習も追いつくがそれなりの年になっての弾切れは悲惨な結果を生む
原発などの施設はそんな貧乏な金に弱そうな田舎を狙い撃ちにして作られている。
誘致派の町長が当選するという事は事故は当然に想定してなければならないし事故になったら
二度と帰れない事は反対派が散々説明して来た事だと思うのだが
野郎はどうなろうが自業自得だと思うが俺はスーパーで値段を見ながら買う女の年寄が大嫌い
最低生活必需品程度しか売っていないスーパーの食糧を買うのに躊躇する姿が異常な状況に思える。
さっさと田舎に帰り野菜は自分で作り川に網掛けて魚を獲れと後ろからブ殴ってやりたくなる。
都会のネオンやいいべべを着た人やどうやったら買えるのか時を見るだけの為にキラキラ光る時計をした人の群れに押し潰され自分を見失う前に田舎に帰れと
春になったらゆっくり天北原野に咲くエゾカンゾウを見に行こうと思っている。