げんばびとの所作


船の船体には構造上のものと浸水を食止める為の水密区画がありバルクヘッドと呼ばれる。

エンジンから様々なワイヤーや配線や油圧ホースや電気ハーネスを何メートルも引いて来るのだがバルクヘッド配線用の小さな数センチの穴を通り越す事は結構大変でもっとも注意を要する作業になる。
穴が大きければバルクヘッドの役目はない
各種配線や配管がスムーズに出て来ないと言う事は引っかかってる事を意味し
当たり前だが力で引き抜くと絡まってるコントロール機器やハーネス類を損傷させる。

意外に思われるかも知れんが職人や修理工がやってはいけない事は力で押切る事はもっともやってはイケない事でそれは自分へのしっぺ返しとなって戻って来る。
その為に優秀な職人技ほど見てると流れがスムーズで誰でもやれそうに感じてしまうのだ。

途中で何度か小さな進化をしながらこのハーネスが出始めて23年ほどになるが
これはと思う物が付いた。たった6本の線を束ねているだけの物らしいが恐ろしい事に
このマッチ箱程度の大きさでも
引く側の端末に付いてるこの形は一目見ただけで
今回は大小合計9ヵ所あるバルクヘッドに引っ掛かる事がすぐわかる。
長い事やっているが小型の船のバルクヘッドの構造を実際に見た事は無いし見る事は出来ない場所が多い
ただ図でこうなってるだろうと想像は出来る。

結局は通常なら2時間程度で終わる各種コントロール系統作業にガラスウールを手に突き刺しながら二日間掛かった。
このコネクターはハーネス制作手間節約らしいが
設計部門の現場を全く知らない無知な設計者が設計をしたと言っていいし
設計部門上司も現場を知らない上司と言っていい
そして上部や中枢部組織全体がそんな感じだなと想像出来る。

バカの一つ覚えの様に安心安全と言って現場任せにし危険なオリンピックを強行しようとしたり
博打である金融経済を推し進めたりするが
そもそも金融経済や会社の上部や中枢部はその一円は何処から来たのか
最初の一円はすべては現場が身体を張って稼いだ一円ではないか
いま日本中で現場を知らない、知ろうともしない事がアチコチで起きている。
もう革命でも起きない限り戻る事は出来ないだろう。
革命が起きると支配階級はひで~目に遭うのは歴史が証明してるがチ~を見るのは嫌だ。

せめて下々がいま出来る事は自分の手から見知らぬ相手の手に銭を渡す時に
心を込めて
これは俺が身体を張って稼いだ銭だょと渡す事しかない
美しい所作は心の表れ

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。

CAPTCHA