作ってやろうじゃないか


上藻別鴻之舞資料館 薪を切る為の直径1メートルほどの刃

平成天皇の結婚パレードがあった年あたりにオヤジは何を思ったのか貧乏のどん底にあった時に
この刃の付いた機械を何処から持って来てリヤカーに乗せて薪切り屋を始めると言い出した。
北海道では冬の暖房の為に金持ちの家では自分で薪を切る事はなくこの薪切り機械で切らせていた。
そこら中が坂の街の中を学校にも行かずに一軒一軒金持ちの家を回る為にオヤジのリヤカーを押して歩いた。
まったなぜか知らん金持ちの家は宮園町など坂の上にあったのだ
どん底の貧乏人の親子が金持ちの家に木を切りに行くのである
羽後本荘の没落名家の出らしいオヤジは長続きせずに止めてしまい機械の借金だけが残り
すべてはこのオヤジが貧乏を持ち込んでいるのだと悟った。
俺は物心付いた時から没落していたので食う事など出来ない菓子を貰えるので結構満足していたが
ケッに当て布したズボンを履いて同級生の深窓の令嬢の家に行くのは嫌だった。


この発動機に平ベルトを掛けて刃を回す
俺は小学校低学年でま~ま~ここまでやったので由緒正しい筋金入りの貧乏人なのだ。

ニュースを見ていて21歳の被疑者が顔を隠し下見て歩いた姿にまだまだ子供だなと思った。
世間に顔向け出来ない罪の大きさや恥を知っているのだ
自分より年下を連れて虚勢を張る事しか出来ない そこにしか自分のアイデンティティを見い出す事が出来ない
その為に集団になると凶行に走ってしまうこれに近い事件は過去に何度もあった
またこれからも起きて来るだろう防ぐ手立ては起きてしまってから罰だけでは防ぐ事は出来ない
未然に防ぐ為には野に放たれてしまう前の義務教育期間に如何に相対するかに掛かっていて
起きてしまってから提灯を付けてネットやユーチューブなどで袋叩きにする事ではない
そうなる前に声を掛ける事が出来る者は声を掛け続けるしかないのだ

朝から晩まで切った薪を金持ちの家のマキ小屋に運んでバス停より少し大きい家に戻ると
家族がいて
原野二線の川を越えた野原には春になると一面に黄色い花が咲く場所があった
野に咲く花は黄色が圧倒的多く
貧乏で食う物も無く母乳が出なかった言う母親は俺を必死に育ててくれた
その母親は黄色は幸せを運ぶ色と言った。
道を逸れそうになったら楽しかった思い出がどれだけあるかだと思うのだが
無いなら作ってやろうじゃないか

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