三河紀行 7


北海道と東北の山は富士山の様に独立しそびえる山が多いが北陸道と東海道との間に東北道があり何処から見ても壁の様に山々が見え これが北海道との大きない違いではないかと思う。
シェルパ、テンジンの住んでいた村ではエベレストは登ってはいけない神の山だと言う
テンジンが登った事でエベレストは銭になる山として変わっていき多くの犠牲者が出て来る。
スノーモービルでそこらの山を散々登った俺が言うのもなんだが
足を踏み入れていけない領域と言うものがあってもいいのではないかと思う様になった。
モービルは目的に合わせて3機種5台持っていたが今年は水源地を見に行く為に最後に残していたBR250Tを車の改造費の為に売ってしまった。
もう二度とモービルには乗る事はないだろう S300からやや40年
冬山は恐い 山からは色々な教訓を得たが一番は自分の足で行った処しか歩いては戻れないと言う事だった。

何処を走っても山が壁になっている。
野麦峠で時間が掛かり高山に入ったの夜だった 駅に行って見たかったが
記憶にある高山とは全然違い車の量が多すぎて流れに乗れず駅処の話ではなく端折って飛騨の道の駅にゆく
なにせ左目の視野が狭く左折も大変なのだ そろそろ車での旅行は止めないといけない事を今回思い知らされた。

夜は走るのを止めて飛騨道の駅で寝ていたが
俺のキャリーはFFヒータが付いてる為にエンジンを止めていてもヒーターの音がするので車中泊は隅っこの車が居ない処に駐車をする。
明け方前の4時頃 その俺の車を挟む様に新型ハイラックスサーフやハィエーやなんかわからん車がドヤドヤと数台止まった。
エンジン音はどって事ないのだが話声がやたら聞こえて来た。
この夜中の話声は耳障りで気になって仕方ないのだ。

こそっと外を見ると若者が何やら荷物を積みかえて身投げがドッタラコッタラと聞こえてくる。
夕闇の日本海で身投げと言えば東尋坊か金大中事件である。
それもそこそこに聞こえる声で物騒な話が続き 離れてはいるがトラックや車中泊の車が居る中で うるせぇな~と思い始めた。
相手が自分より弱ければ見過ごすと言う事が出来ないと言う 都合のいい性格なのだが人数も多くさらに若い上に身投げがドッタラコッタラと笑って話す集団なのだ。
どうする このまま去るまで待つか注意をするか悩んだ。
注意して頭を踏み付けられるのも嫌だし顎の骨にひびを入れられるのも折角日本海で回転寿司を食おうと思ってるのでそれも嫌だし
しばし悩んだが
今までの人生でコイツは根っからの悪党だと思う奴に逢った事がないし
俺は根っからの商人兼修理工で交渉事には慣れている。

誰かに注意をする時に気を付ける事は注意する側は俺は正義の味方と言う正義の大看板を盾にしてはいけない
どんな奴にもそれぞれの考え方と理由がありまずは聞いてみなければわからない
言ってもわからん理解出来ない事はありそれは仕方のない事なのだ。
だが見過ごす事はその場では反感を持たれるかも知れんがその後に何年後か知らんがその本人に生きて来る事もある。

金大中の様に拉致されるのも怖いが思い切ってドアを開けた。
俺の車は中でとても人が寝てると思えない作りなので そこから人が出て来て相手はびっくりこいている。
「 あの~も少し寝て居たいのですが~ 」とスリスリと揉み手をしながら言った。
普段から人様に迷惑を掛ける奴は生まれてこの方
褒められた事や認めて貰った事も一度もないと言う奴は沢山いる
その相手には正義の大看板を背負っているからこそ下手に出る事が必要なのだ。
若者は「 すみません 」と謝る 若者の怪しげなクーラーボックスの中はバラバラにした遺体ではなく
ホタルイカで獲物を分け合っていたのだ。
ホタルイカがどっさり入っていて四方漁港に行くとホタルイカが網に身投げをする様に飛び込んで来て面白い様に獲れるのだと言う。
その様子をホタルイカの身投げと呼ぶと教えて呉れた。
日が昇ると身投げは終わるらしい
今から行っても獲れるかも知れんと言われ
その場を四方漁港を目指して脱兎の如く去ったのは俺の方だった。


残念 神岡鉱山まで来て夜が明けてシマッタ
それでも欲の皮が突っ張ってる俺は鹿部間欠温泉の様なオシッコタイムの後にひたすら四方漁港を目指し走るも
ホタルイカの身投げは終了していた。
浜にテントを張ったり車で住込んでいるのではないかと思う北海道の鮭釣りの様だった。

知多半島では生シラス丼を食って見たかったのに

3月30日に行った 師崎港
ここはシラス漁は4月1日からで生シラスは食い損ねていたので
今度こそホタルイカを自分の手で獲って生で食うぞと意気込んだが朝になって時間切れアウトだった。
後日聞くにはホタルイカは生で食ったらいかんらしい


初めて来たが一応富山ナンチャラ県民なので
どんな処なのか近くに行ってみたい気もしたが
顔を見せん、知らん、行かぬのが華なのだ。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。

CAPTCHA