追いかけて雪国~(完)

1月1日 元旦  

 雨ニモマケズ 風ニモマケズ  雪ニモ夏ノ暑サニモマケヌ  

丈夫ナカラダヲモチ  慾ハナク  決シテ瞋ラズ  イツモシヅカニワラツテヰル

一日ニ玄米四合ト 味噌ト少シノ野菜ヲタベ  アラユルコトヲ

ジブンヲカンジヨウニ入レズニ  ヨクミキキシワカリ  ソシテワスレズ

野原ノ松ノ林ノ陰ノ  小サナ萱ブキノ小屋ニヰテ  東ニ病気ノコドモアレバ

行ツテ看病シテヤリ  西ニツカレタ母アレバ  行ツテソノ稲ノ束ヲ負ヒ

南ニ死ニサウナ人アレバ  行ツテコハガラナクテモイヽトイヒ

北ニケンクワヤソシヨウガアレバ  ツマラナイカラヤメロトイヒ

ヒデリノトキハナミダヲナガシ  サムサノナツハオロオロアルキ

ミンナニデクノボウトヨバレ ホメラレモセズ  クニモサレズ

サウイフモノニ ワタシハ ナリタイ

ジャスポート浪岡にて38リッター給油

フェリー乗船にまだ時間があるので国道から外れ走っていると、大釈迦村の駅前にポロっと出た。 
ここは、行く気だけでは行けないような場所にあった。

「徳長部落一同」と書いた暖簾のような物を持った父さん達が、無人駅の大釈迦駅前広場に集合して、巨大なワラジや太鼓などを持ち、新年の村回りに出掛ける準備中の行列に出会う。

手にそれぞれに「お茶け!」など飲み物を持ち、出発前の打ち合わせなのだろうか。
一団がいつまでも談笑している中に、少し離れたところに一人、直立不動のひときわ背の低い男がいた。
神妙に御幣を持ち直立不動で、最初に決められた位置なのだろう。 いつまでも姿勢を崩さずに御幣を持ち、いつ動くか分からん飲兵衛親父一団が動き出すのをじっと待ち続けるのだった。

カメラを向けるとはにかんで、手に持った御幣に顔を隠すのだったが、無垢で、東北の田舎のこの地に生きるという感じでした。