疾風迅雷

木曜日に老人が引き戸を開けて何かを言っているのだが姿かたちもしばらくわからなかったが
その声は聞き覚えがあった。

北海道に戻って来て40数年経つが戻って来るにあたって内地にもその名が轟いていた
旭川の某所に顔を出す事にして初対面だったが受入れて呉れた。
そこで知り合ってから現在までお付き合いをさせて頂き崖下村に移ってからは業態も変わり逢う事もなくなり電話で年に数回商売の話をする程度だった。
旭川の浮き沈みの激しい業界の裏も表も見続けた生き証人と言っていい人なのだが
年代は同じで逢う事がなくなって30年
思い出した瞬間に出た言葉は最後に逢ったのが30年前で現在のその姿に「いったいどうしたの」と思わず出た
病気に掛り終業を決意してそのお暇乞いを夫妻で来たのだった。
本を何冊も書けるほどの時代を疾風迅雷のごとく一緒に走り抜けた皆の消息や聞きたい事が山ほどあり胸が一杯になった。


俺だけ置いていかないでと
走り去る車が見えなくなるまで手を振った。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。

CAPTCHA