追いかけて雪国~(中)

31日 20:00分 津軽 『 碇ヶ関 関の庄 』 道の駅にて

ここの道路の向かいに、スッポン料理とデカイ看板が掛かっている。 
道の駅であと4時間後に新年を迎える事になる。 
ワンカップ大関200にサンマ寿司、上にぎり、イカリング唐揚げ、エビ天ぷらを車の中の簡易ベットに並べて飲みまくり、喰いまくった。

いいかげんたって辺りを見渡すと、何台もの大型トラックや乗用車が止まっている。 
数台はそのまま一緒に年越しをして、元旦の朝を迎える事になった。
正面にある自販機に駆け寄る親子の乗用車など、きっと中の数台は、正月など来なければいいのにと思っているのではと思い、これがオレの敷地なら皆を誘いジンギスカンで酒盛りでもやるのにと思った。

時の首相は格差が付くのは仕方のない事だと言い切ったが、トラックは夜通し走り続けなければならないし、誰かがクソ寒い中現場に立たねばならないし、誰かが割の合わない枝葉の末端の仕事もしなければならない。 
努力をして全員が今はやりの起業家になったなら、一番困るのは当の起業家であり、頭に立っている人達なのです。
それを格差と言うなら、時の首相も、はやりの起業家や株などを生業にする虚業家も、あまりにも世間を知らない恥ずかしい『ハダカの王様』と思わざるを得ない。

古い年はもう終わって新しい年が来たことを知らせるように、夜空から次々とダマになった雪がトラックにも乗用車にも「ひと一人格差なんてさほどないんだよ」と言うよう、分け隔てなく均等に雪が真っ白に降りそそぐ。 

オレにとっては新年を車中で迎える羽目になったが、これが格差と言うなれば、約束をはたせと送り出してもらえる、恵まれた格差なのかと感謝した。  

両手で大関ワンカップ200を持ち、『泳げタイ焼き君』を口ずさみながら、 ここにいる皆に新年乾杯。