追いかけて雪国~(上)

やっと目的の家に着く。
そこはホタテ町でなく、宝立町(ほうりゅう)だった。

「あんたGPSはもっとらんのかい」
なら地図をFAXしたのにとまで言われ、能登の地図をくれる。
年代の割にハイテク父上でした。

その後、このハイテク父上に家でご馳走になってる時に財布を落として来たが、
ハイテク携帯電話にリダイヤルですぐに連絡頂き助けられる事に。

除雪機を雪のある道路に降ろし、おもむろに説明をしようとしたが、 
お父上に挨拶と説明の口上を遮られた。 
「説明はいらん、まず中に入ってメシ食べなさい」
「お茶飲みなさい」
「いしる食うか」

その後「機械は自分で直すので、旋盤以外は何でも持ってるから説明はいらん」 との事。 
その昔、海岸町には焼き玉エンジンなどを砂型から起こして作る工場がそこかしこに有ったので、発動機などは基本から知っている人が沢山おり、知恵と工夫を持った人達が生きているのです。

「除雪機は確かに届けましたよ、年まえに。 俺が会うことのない都会の息子さんへ!」

帰り際、無骨で頑丈な手で、縦一尺 横八寸の菓子箱に真四角な柿をキッチリと収めて手渡してくれるのでした。